昨年末、韓国沖で起きたタンカーの原油流出事故で、札幌市の獣医師斎藤聡さん(45)が現地で海鳥救護などの油除去作業に参加、このほど帰国した。サハリン沖の石油・天然ガス開発事業が年内にも通年生産の開始を予定する中、道内沿岸でもタンカー事故が起こる危険性は高まっており、斎藤さんは今回の体験をもとに「対岸のことと考えず、関心を高めてほしい」と訴えている。
事故は昨年十二月七日、韓国中部の泰安半島沖の黄海で発生。香港籍タンカーの船腹から原油約一万五百キロリットルが流出し、半島沿岸に大量の油が漂着した。
油流出事故で海鳥などの救護を行う野生動物救護獣医師会(東京)のメンバーの斎藤さんは、十二月二十七日に現地入り。海鳥の保護と油除去作業に加わった。
斎藤さんによると、海鳥の被害は、幸い生息域への油漂着が避けられたことで軽く済んだが、行政機関の連携不足で現場が混乱することもあったという。斎藤さんは「除去した油の焼却処理をどの自治体が行うか決まらず、せっかく集めた油を入れた容器が暴風雪で倒壊。油が飛散してしまった」と振り返る。
斎藤さんは、一九九七年の日本海のナホトカ号事故や、二○○二年のスペイン沖プレステージ号事故でも海鳥救護などに従事。米国の野生動物救護団体からノウハウを学び、道内では野生動物リハビリテーター協会の結成に参加。市民対象の講習にも取り組んでいる。
○六年には網走管内斜里町沿岸などで、船舶燃料用の油にまみれた海鳥の死骸(しがい)五千羽以上がみつかった。斎藤さんは、「石油を輸入に頼る日本は、事故と常に隣り合わせにある。普段から、行政と市民が情報を共有し、拡散を防ぐ備えが必要」と話している。
(北海道新聞より引用)
2008年1月13日日曜日
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